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2008.10.31 朝日新聞

熊本産馬刺し偽装

実はカナダ産…国・県が改善求める

 表示義務のある産地を記さずに馬肉を取引し、カナダ産を熊本県産の「馬刺し」と偽ったとして、農林水産省は30日、食品会社2社にJAS法に基づき改善を指示し、企業名を公表した。もともとは熊本市の食肉卸会社が産地を表示しなかったのが原因として、農水省は熊本県に対し、この会社に改善を指示し企業名を公表するよう求めた。しかし県は「故意ではなく、業者もただちに改善の意思を示した」として非公表にできる指導にとどめた。

 農水省が改善を指示したのは食品卸・ショクリュー(大阪市)と食品販売・ヤマフ(佐賀県唐津市)。熊本県が指導したのは、三協畜産。

 農水省と県の調べでは、カナダから馬を輸入し、熊本県内で3ヶ月ほど肥育した後、食肉処理した166キロ分の馬刺しを、三協畜産は昨年6月〜今年8月、産地を表示せずにショクリューに販売。ショクリューも産地を記さずにヤマフに出荷し、ヤマフは唐津市の直売店で熊本産と偽って販売した。

 JAS法に違反した場合、複数の都道府県に営業拠点をもつ業者は国が、それ以外は都道府県が行政措置する。今回の場合、ヤマフとショクリューは農水省に、三協畜産は熊本県に権限がある。

 熊本県は実名公表が必要な改善指示ではなく指導にとどめた理由について、@三協畜産が普段、産地を記さなくてよい外食産業を主な取引先としているA不当な利益を得ていないB取引の数量が少ない−と説明。一方、農水省は「用途を確認せずに販売しており、産地を伏せた出荷は明白なJAS法違反にあたる」と反論している。

 三協畜産は朝日新聞の取材に「熊本生まれの馬はほとんど流通しておらず、県外生まれだが熊本で肥育した馬でもいいと考えて取引した。産地表示が必要ない外食用かと思っていた」と話している。


道産子・輸入が大半 県内で処理

 馬刺しは熊本の名物だが、06年度に熊本県で食肉処理された7870頭のうち熊本生まれは100〜200頭に過ぎない。カナダからの輸入馬が6割超、残りは北海道のばんえい競馬から流れる馬に支えられているのが実態だ。

 05年9月まではJAS法上、輸入した畜産動物は3ヶ月以上、日本で育てれば、国産と表示できた。馬刺しもこの手法で熊本産として売られてきた。制度改正で、育った期間が最も長い場所が産地になり、「3ヶ月ルール」は廃止。生産業者12社でつくる「熊本県馬さし流通協議会」はこの年作った自主ルールで、県内で生まれ育った馬のみを「熊本産馬さし」とする一方、県外から連れてきた馬も県内で食肉処理すれば「産」の1文字を抜いた「熊本馬さし」として売ることを認めた。

 熊本の馬刺しは、筋肉の締まったサラブレッドではなく、脂のつきやすい農用馬が主流だ。戦後、農家が馬を飼う習慣はほぼなくなった。そこで、熊本の業者が注目したのが、北海道のばんえい競馬だ。主催する北海道帯広市によると、出走できるかをテストする会場には、熊本県の馬肉業者が待ち受け、不合格の馬はその場で売買される。しかし、北海道の農用馬も減少。10年前まで1万頭以上いたが、07年には半減した。

 この穴を埋めたのが、カナダや米国からの生きた馬の輸入だった。97年の935頭から、5年後には4千頭を突破。しかし、米国では食用輸出への批判が強く、07年は5302頭すべてがカナダから輸入されている。






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