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2018.4.12

目標を持つな。志を持て


書店「読書のすすめ」店主、清水克衛氏の心に響く言葉より…

《将来の目標はない方がいい。自分の夢なんて忘れてしまおう》

こんなことを言うと、ちょっとビックリされるかもしれませんが、“成幸”体質っていうのは、より「バカ」になることなんですよ。

よく、

「人生、目標を持つんだよ。自分の目標がない人は、途中で挫折しちゃうから。ただ漠然と生きているとなんとなくそのまま流されて、自分の夢や理想の人生が生きられなくなっちゃうから」

って言われてますよね。

でも私は、うちの若い人たちには、

「目標を持つな。志を持て」

って言ってるんですよ。

私たちのやっているNPO法人「読書普及協会」は、自分の小さな夢を目標にしている人たちの集まりじゃなくて、みんなが、それぞれ、目の前にきた人を元気にしようっていう志を持った人の集まりなんです。

「目標を持って、それに向かってコツコツ実現していく」

確かに、それもひとつの王道なんです。

「バカ」と言われるくらいにそこに突き進んだら、きっとうまくいくことでしょう。

ただね、目標にしばられて、その通りにできなかった時、イライラしちゃったり、がっかりしちゃったり、中途半端な自分に悩んじゃったりとか、そういう考え方だけしか知らないことで苦しんじゃっている人、いませんか。

それだけじゃなく、

「私って、これって言える夢とか目標がないんです。それが悩みなんです」

って悩んでいる方、いらっしゃいませんか?

そんな方のために、他にも王道があるんです。

それが、

「目標を持たなくてもいい。そのかわり、自分の人間力を限りなく高めていく。そうすると、やがて人生は思ったとおりになる」
って方法なんです。

「日本一の何々になる」

とかって、遠くから目標を持ってくるんじゃなくて、目の前の人、目の前の物事に心を込めて集中するんですよ。

私の場合もそうなんです。

ただ、来てくださったお客さんを喜ばすことに集中していただけなんです。

目標は、遠くにあるんじゃなくて、目の前にある。

それを、“顔晴(がんば)”る。

そうすると、自然に道ができてきちゃう。

目標がなくても「あきんど感覚」さえあれば、道って自然に開けてくるものなんです。

『まず、人を喜ばせてみよう』プレジデント社


清水克衛氏は「あきんど感覚」についてこう語る。

『「あきんど感覚」っていうのは、自分のまわりにいる人を喜ばせて、その結果、いつのまにか自分もツイてる人になってしまうという、神さまの知恵。

本物の商人っていうのは、とっても魅力的で、「人を喜ばすスペシャリスト」です。』

商売においても、「目標日本一!」とか「売上高〇〇億円、店舗数〇〇〇店を達成する!」という威勢のいい目標を掲げている会社がある。

もちろんそれはそれで素晴らしいが、本質的に言うなら、一店一店の実力を極限まで高めていくことの方が王道。

それは、一店一店が筋肉質で、どこに出しても恥ずかしくない高いレベルにまで努力し、同時に、働いている社員やスタッフが自社のことを、「いい会社」だと思える会社。

逆に、店を出せば出すほど、一店一店のレベルがどんどん下がっていくなら、それは倒産の道に向かって突き進んでいると言わざるをえない。

それは、人においても同じで、目標や夢の実現より先に、自分の人間性や徳性をどこまで高めることができるかが、本筋での努力。

目標や夢を追求するあまり、家庭が崩壊してしまったり、身近な人たちとの人間関係がおかしくなるなら、それは本末転倒。

「近き者説(よろこ)び、遠き者来る」という論語の中の言葉がある。

孔子は、「近くにいる民が喜び幸せであるなら、遠くにいる民もそれを聞いて集まってくる」と言った。

身近な人や、自分の周囲にいる人を幸せにできない者は、遠くの人を幸せにすることはできない。

遠くの人とは、商売でいうならお客さま。

ただひたすら、目の前の人を喜ばせることを考える。

お客さまも、スタッフも。

どんなときも、高い志を持ち、人を喜ばせることの実践をしていきたい。


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